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社会

一生、まるごと検索 関学大教授「ライフログ」考案

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ファッションショー形式で披露されたライフログ用のコンピューター機器(河野恭之教授提供)

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小型カメラで記録した映像を再生し、学生と体験を共有する河野恭之教授(右)=三田市学園2、関西学院大学

 「この人、誰だったかな」とひやひやしながら話を合わせていると、相手の名前が自分の眼鏡に表示される-。探し物を最後に手にしていた映像が再生 され、すぐに見つかる-。未来を描いた映画のようなワンシーンを現実化させようという研究が、盛んになっている。人間が見たことや話したこと、出掛けた場 所などを一生分、丸ごとコンピューターに記録し、検索可能にする「ライフログ」。「人間の記憶をうまく補強したい」と語る兵庫県内の研究者を訪ねた。(記 事・写真 段 貴則)

 関西学院大学理工学部(三田市)の河野恭之教授(41)の研究室。小型カメラ付きのヘルメットやおしゃれにカメラやコンピューターを収納して身につけるためのポーチなど、ライフログ用の機材が並ぶ。

 河野教授は大手電機メーカーの研究者出身。これまでの経験も生かし、システムを考案した。

 衣服のように身につけられる「ウエアラブルコンピューター」をまとい、小型カメラで起きている間の体験を撮影。映像や音声などを丸ごとコンピューターに記録する。記録される現在の映像と類似する過去の映像があれば、自動的に検索しモニターなどに表示する仕組みだ。

 身近な出来事を記録できるライフログの活用例は無限にあるという。

 例えば認知症の高齢者が、決められた時間に必要な薬をきちんと服用できたか-など医療や福祉の分野。さらに事件や事故では、発生状況などを知る重要な手がかりにもなりうる。自分の体験を他人に見せてコミュニケーションを図るためにも使える。

 河野教授が身近な出来事を記録する重要性を感じたのは、一九九五年一月の阪神・淡路大震災がきっかけという。芦屋市内の自宅マンションと実家が全壊。当時は身の回りの状況を記録する余裕はなく、全壊した自宅を写真に収めたのは震災からしばらくたってからだった。

 「日常の重要な場面を確実に記録し、いつでも再現できる仕組みが必要と実感した」

     ◆

 ライフログ研究の歴史は古く、すでに一九四五年にはアメリカ人科学者が提唱。科学技術の進歩に伴い、カメラやコンピューターなどの高性能、小型・軽量化や記録装置の大容量化が実現を後押ししている。

 ちなみに七十年分の人生を記録するには、十テラバイトの記憶容量が必要という。記憶容量百ギガバイトのノートパソコン百台分に相当する。

 河野教授は「技術が進めば悪用されることもあり得るが、人生にプラスになる使い方を提案したい」と話している。

(2/9 14:46)

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